輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

「“凛"って……、その子は名前で呼ぶんだね?」

「え?」

「お前、様子が変だぞ?」

凛空の言う通り、雫夏先輩の様子は変だった。

「なんで?その子だけ名前で呼ぶの?私なんてこの三年間、苗字すら呼んでくれなかったのに……」

「え?!」

私は、凛空へと目を向ける。

だけど、凛空は雫夏先輩を睨みつけていた。

「お前……、誰だ?!」

「どういうこと凛空?!」

「凛空って、名前も呼び捨て?」

「あっ!」

つい凛空の名前を呼んでしまった。

「お前、妖だな?副会長をどこにやった!」

「憎い……、羨ましい。欲しい……、呼んでほしい……」

雫夏先輩は、ぶつぶつと何かを言っていた。

「ふっ……はは……。あはははははは」

雫夏先輩は、笑い出すと血の色みたいに染まった瞳で私たちを見てきた。

「お前は、鬼女か?!」

「鬼女?!」

「その通りさ、私は鬼女。ぬらりひょん様に従う妖の一人さ」

鬼女は、その場で回ると和服を着た鬼の姿へと姿を変える。

『私はね、あの出来損ないの鬼とは違って、あんたらを殺すよ』

「あの鬼のことか……。副会長をどこにやった?!」

『こんな時でも、あの女の名前を呼んであげないのかい?』

鬼女は、自分の胸元に手を当て言う。