「凛空に問いただそうとしても、何も答えないのよ」

「会長って自分のこと、あまり話さないからなぁ。誰か会長の素顔知らないかなぁ?」

そっか、普段の凛空は厳しくてクールに振るまっているんだっけ?

なら、本当の凛空を知っているのは私だけなんだ。

そう思うと、笑顔がこぼれた。

「どうしたんだ凛?嬉しそうだけど」

「えっ?私そんな顔してた?」

「あぁ」

「あぁ……、ちょっと思い出し笑いかな?」

何いってんの私は、思い出し笑いなわけないのに!

「そっか、僕もたまに昔のこと思い出して笑うことあるよ。思い出すと、なんだか懐かしくなっちゃうんだよね」

「そ、そうだね」

ごめん凌、すっごくいい事言ってるのに、思い出し笑いじゃないんだ。

「おい、そこのお前……」

「えっ?」

凌の後ろに、さっきまで居なかった凛空が、怖い表情をして立っていた。

「か、会長?!」

(り、凛空?!)

「これから文化祭に向けての大事な顔合わせだ、静かに待つことが出来ないのか?」

「す、すみません!」

凌は、すぐに立ち上がり深々と頭を下げる。

(今の凛空……、少し怖い)

凛空と目が合い、私の肩が軽く上がる。

でも、凛空は優しく微笑んでくれた。

(あれ?いつもの凛空だ?)

じゃぁ、なんで怖い顔なんてしてたんだろ?