「これは、安倍家の頭領が蘆屋家に残した言い伝えだ。百鬼夜行の総大将現るとき、蘆屋の頭領総大将を打ち破る」

「それは、ぬらりひょんが凛に負けるってことか?」

「あぁ、しかしこの言い伝えが真だった試しはない。戦いは、今も続いているからな」

「それは、俺でも止められるのか?」

ぬらりひょんを倒せば、凛は輪廻転生から開放される。

そして、運命の道から外れる。

「それは、無理な話だ」

「何でだよ!」

「凛とぬらりひょんの戦いが始まれば、安倍晴明の子孫のお前だとしても、戦いには参戦できない」

「それも、運命なのかよ」

「昔からそうだ。蘆屋の人間とぬらりひょんが戦う時も、安倍家の者が何度も助けに入ろうとした。しかし、それは出来なかった」

そうだとするなら、俺は凛を守れない。

凛を一人にすることになる。

「何も出来ずに、見ているだけかよ!」

「でも、お前が戦いに参戦できる唯一の方法がある」

「なんだ?!」

「凛以上に強くなることだ。そして、刀を手に入れろ」

「刀……、だと?」

「あぁ、村雨(むらさめ)だ」

村雨、聞いたことがある名前だ。

「だけど、それは昔の剣だ。今は何処にあるのかは分からない」

「なら、手に入れようにも無理があるだろ」

「お前の言う通りだ。その為に俺は情報を集めている」

そうだ、青龍は十二天将を抜けたんだ。