輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

【凛空】

「くそっ!」

図書室を出た俺は、教室には戻らず屋上へと向かった。

そして、拳で壁を殴る。

「なんで、俺はあんなことをした?なんで、止められなかった」

凛の顔を見た時、凛が好きという気持ちが溢れて、あんなことをしてしまった。

「からかったなんて、嘘なんだよ!」

凛に言ったことを、俺は後悔していた。

あの場でもし、「からかっただけ」という言葉じゃなくて、「好きだから」と伝えていたら何か変わったか?

「きっと、何も変わらなかった」

逆に、俺たちの今の関係に亀裂が入っただけだ。

「可哀想なことしちゃって」

「太陰……」

一枚の符が浮かび上がり、太陰が姿を現す。

「何のようだ?」

「凛空を慰めてあげようと思って」

「そんなことしなくても、俺はいつもどおりだ」

こいつには、俺の心は読ませない。

「嘘ばっかり言って、自分の気待ちにも嘘ついて、凛ちゃんにも嘘ついて、もう君の存在は嘘の塊になりかけてるね」

俺は、鋭く太陰を睨みつける。