輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

【凛】

「はぁ……。暇だ」

図書室は、しんと静まりかえっていた。

「当番やってたって、誰も来ないしさ」

私は、スカートのポケットから符の入った入れ物を取り出し、一枚の符を取り出す。

「騰蛇、傷の具合はどう?」

「別に普通だ」

「本当に大丈夫なの?」

「だから、そう言ってんだろ?心配しすぎだ」

「だって、騰蛇は私のせいで……」

その先を言いかけた時、騰蛇の符が浮き上がると騰蛇は姿を現す。

「大丈夫なの?出てきて」

「平気だ、お前の力を使って、出てきてるわけじゃねぇからな」

騰蛇は、カウンター席の上に座る。

「悪かったな、お前を守れなくて」

「そんなことないよ、騰蛇は私を守ってくれたじゃん」

もしあの時、騰蛇の言葉を聞かずに、ぬらりひょんの近くに行っていたら、今頃どうなっていたのか分からない。

「ぬらりひょんと戦った時、頭に血が登って、周りが見えなくなった。あいつは、薫子を殺したんだ。それに──」

騰蛇は、遠くを見つめるように目を細めた。

「気づいた時にはあっちに戻ってて、俺は自分の弱さに苛立った」

「私のせいだよ、契約者である主の力が弱いと、十二天将たちの力も抑えられるから」

お母様は、どうやって強くなったのかな?

「ねぇ騰蛇。お母様はどんな人だったの?」

私が覚えてるお母様は、誰よりも元気で、素敵な笑顔を持つ人だ。

「そうだなぁ、はっきり言えばがさつなやつだったな」

「えっ?!」

そ、そうなの?

私が想像していたのと大分違うけど……。