「ご安心ください、凛空様は無事ですよ」

「ほ、ほんとう?!」

「はい」

私は、それを聞いて安心した。

「凛空様は、まだ眠っておられますが、凛空様にお会いになりますか?」

「うん!会いたい」

慧子おばさんに案内されて、私は凛空の部屋の前へと来た。

「今中に奥様がおられますが」

「大丈夫です」

私は、凛空のお母さん──紫暮(しぐれ)さんとはあまり面識はないけど、近くに行かなくても、力の気配は強く感じる。

「奥様、凛様が参られました」

「お入りなさい」

私は、障子を開けて部屋の中へと入る。

「何をしにここへ来ましたか?」

「その……、凛空の様子を見に来たんです」

空気がピリピリしてる……。

やっぱり、紫暮さんは怖い……。

「そうですか……」

紫暮さんは、読んでいた本を閉じると、私の方へと向き直った。

「今回の事件について、全て十二天将たちから聞きました。大変でしたね」

「はい……。今回の事件を招いたのは私です。凛空は、命懸けで私を守ってくれて、大怪我までさせてしまいました。本当に、ごめんなさい!!」

私は、深々と頭を下げる。

紫暮さんは、少し間を置いてから軽く溜め息をはく。

「貴方が責任を負う必要はありません、貴方のせいでもありません。凛空が大怪我をしてまで貴方を守ろうとしたんです。私は、息子を誇りに思います」

「紫暮さん……」

「転生……、運命とは逆らえないものですね」

「えっ?」

「貴方は、凛空のことをどう思っていますか?」

「それは……」

紫暮さんは、私にそう訪ねたあと凛空の部屋から出て行ってしまった。