「こいつは……」

私は、ぬらりひょんの姿を見て驚く。

ぬらりひょんの姿が、砂と化していたからだ。

「分身だったか」

『今日は、お前さんの本気を久しぶりに味わうことが出来て良かったよ』

結界の中にぬらりひょんの言葉が響いた。

『次会ったときは、そこの娘さん共々みな殺しにしますよ』

「それは、こっちの台詞だ。せいぜい首を洗って待ってろ」

『そう簡単にわしの所へは来させないつもりじゃよ』

その言葉を最後に、ぬらりひょんの笑いは声が響くと、私たちはもとの空間へと戻ってきた。

(ぬらりひょんが消えたことで、元の空間へと戻った?なら、あの結界はぬらりひょんが張ったもの……)

一体何のために結界なんて?

私は、青龍を見つめる。

(七年前私を助けてくれた青龍──銀)

青龍についてはたくさん聞きたいことがある。

(あれ?)

外を見ると、空には夕焼け空が広がっていた。

「なんで?結界の中では深夜を回っていたのに……」

「お前が結界に閉じ込められる前の時間に戻った。あの結界の世界は、おそらくぬらりひょんが作ったものだろう。だから、時間も自由にいじることも出来た」

時間を早まらせ、鬼の妖に操って私を襲わせた。

「そっか……。とりあえず早く戻らなくちゃ、凛空の手当をしないと……!」

立ち上がろうとした時、急に目眩が私を襲った。

「あ、れ……?」

眼の前の景色が歪む。

「体がふらつくのは無理もない。今日だけで二体の十二天将を召喚したんだ。今のお前の体では、耐えられないからな」

「だから、目眩が……」

目眩と一緒に睡魔も襲ってくる。

まだ眠りたくないと思いがあるのに、睡魔は私を眠りにつかせて、私の意識はそこで途絶えてしまった。

しかし、誰かに抱きかかえられている感覚はした。

でも、体が重くて何も言えず私の意識は更に奥深くへと沈んで行った。