「そんな…!」

『今のお前さんの力じゃ、わしは倒せんぞ』

ぬらりひょんは、ゆっくりと私に近づいてくる。

「こ、来ないで!」

私は、足に力が抜けてその場に尻餅をつく。

『お前さんは、七年前に殺しそこねたが、今度こそ──!』

ぬらりひょんは、私の目の前へと来て刀を構える。

(今度こそ、本当に死ぬ……!!)

ぬらりひょんが刀を振り下ろしたとき、私の前に凛空が立ちはだかる。

「凛空?!」

『その傷でまだ動けるのか?』

「あぁ、……こいつは殺させねぇ」

ぬらりひょんは、刀を下ろすと、刀の鞘で凛空を殴りつける。

「凛空!!」

「くっ!うっ!」

『おまえさんを見ていると、あの時の若僧が目に映る……。そこまでその娘を守って何になる!』

鞘を大きく振り上げるぬらりひょんり

それを見た凛空は、私を抱きしめる。

「凛空、もういいよ!このままじゃ凛空が死んじゃう!逃げて!!」

「俺は、いいんだよ!!」

「いやっ!私が嫌なの!」

もう凛空が傷つくところなんて見たくない。

これ以上、誰も失いたくない。

「約束しただろ!」

「えっ?」

凛空は、痛みを耐えながら言った。

「俺は、お前の傍にいる」

その時、幼い頃の記憶がよぎった。