「なぜここにお前が居るんだ!」

『おや、見覚えのない顔が一つありますなぁ』

突然ぬらりひょんの姿が消える。

「どこだ?!」

凛空は辺りを見回し、騰蛇は私を背後に庇ったまま辺りを探る。

『もしかして、安倍家の時期当主ですかな』

「なぜ分かる?!」

『それはですね』

ぬらりひょんは、凛空のすぐ背後に現れた。

「しまっ──」

ぬらりひょんは杖の刀を抜くと、凛空の右肩を刀で斬りつける。

「──!」

私は眼の前の光景に驚く。

「いやぁぁぁ!!」

そして、高く悲鳴をあげる。

「凛空!凛空!!」

凛空は、肩を抑えて倒れ込む。

『おまえさんの力が強いって、分かるからですよ』

「くっそ……、お前……!!」

「凛空!!」

私は、凛空の元へと駆け寄ろうとする。

「駄目だ。凛!」

「離して騰蛇!!」

「馬鹿かお前は、死ぬに行く気か!!」

騰蛇に腕を掴まれて、私は凛空を見つめることしか出来なかった。