「駄目だよ凛空!鬼から逃げても鬼の手は壁を通り抜けるんだよ!」

「なんだと?!」

私が言ったのと同時に、隣の壁から鬼の妖の手が私たちを捕まえようとして伸びて来た。

「捕まってたまるかよ!」

凛空は、爆符を鬼の妖の手に押し当て呪文を唱え符を爆発させる。

「この隙に、お前は騰蛇を呼べ」

「う、うん!」

「俺は、あの鬼を引きつけるから、後は任せたぞ!」

私は、騰蛇の符を取り出し呪文を唱える。

「我と契約せし十二天将よ、我が呼びかけに応えたなら姿を現し、我の助けとなれ騰蛇よ。急急如律令!」

私の呼びかけと共に、騰蛇は姿を現す。

「お願い騰蛇!鬼を倒して欲しいの!」

「そんなの分かってるさ、だけどその前に一つお前に言っておくことがある」

「えっ?」

騰蛇は、怖い表情で私を見下ろしてくると、私の頭に拳骨をくらわせた。

「いったぁぁだ!」

「お前なぁ!前に散々言っただろ!!符は肌に離さず持ち歩けと、何かあってからじゃ遅いんだぞ!」

「ご、ごめん……。でも──」

「なんだ?」

私は、騰蛇を睨みつける。