「ここに、結界の入口がある」

「ここ、確かさっきの鬼が入ったビンが割れた場所?」

「ビンの中に鬼が居ただと?」

「うん、妖たちが活動する時間まで、ここで寝ていたんだけど、目を覚ましたとき突然薬品棚の戸が開いて、そのビンが勝手に落ちて割れたの、そしたらあの鬼が出てきた」

「ビンの中に潜んでいた……。自分の気配をすべてビンに詰め込み、居場所を悟られないようにしたのか?」

「分からない……」

「それについて考えるのはまた後だ。とりあえずここから──」

その時私たちは気づかなかった。

私たちのすぐ後ろにもう一匹鬼の妖が居たことに──

「凛空っ!!」

「な、何でここに居るんだ?!妖の気配はしなかったのに……」

鬼の妖の血の色と同じ瞳が、私たちを見下ろしてくる。

凛空は、私を背後に庇う。

「今の俺は、天空を出していて他の十二天将たちは呼び出せない、。だから俺が囮になるからその隙にお前は騰蛇を呼び出せ」

「でも、そんな事したら凛空が!」

「俺のこと信じてみろ」

凛空は、私の手を掴むと走り出す。