「一体……、何が起きたの?」

掴まれた首を自分の手でさする。

「おい、そこの鬼!」

鬼の妖は、声のする方へと振り返る。

つられて私も視線を向けた。

「お前を退治しに来たのは、そいつだけだと思うなよ」

私は、鬼の妖に向かって言葉を発している人物の姿を見て安堵した。

「凛空……!」

そこにいたのは凛空だった。

隣には十二天将の一人の天空がいる。

「危なかったぜ、あと少し遅ければ、凛の首は飛んでたぜ」

「天空、後のことは任せていいか?」

「分かりました」

天空は、鬼の妖に手をかざすと鬼の妖ごと一緒に姿を消した。

「ど、どこに行ったの?」

「別の空間に移動しただけだ。それより大丈夫か凛?」

凛空は私の所に来ると、赤く鬼の妖の手の跡が付いている首を見つめる。

「遅くなって悪かった」

「凛空は、悪くないよ。助けに来てくれたんだもん……」

「ほら、お前の符だ」

凛空は、ポケットから符の入った入れ物を私に渡してくれた。

それを貰った私の頬に、ずっと我慢していた涙が伝った。

「何で泣くんだ?」

凛空は、優しい声音で聞いてくる。

「だって、怖かったから……、死ぬんじゃないかって思ったから……」

私は、涙を拭いながら符の入った入れ物を抱きしめる。