「いや、来ないで!」

鬼の妖は、伸ばした手で私の首を掴んだ。

「くっ……、うっ!」

私は、両手でその鬼の妖の手を緩めようと鬼の妖の指を掴むんだ。

でも、いくら力を入れて緩めようとしても、鬼の妖の首を掴む手は緩むことはない。

鬼の妖は低く唸ると、私の首に力を入れる。

「……っ!」

苦しくて声が出ない。

私は、ここで死ぬのかな?

私の目に涙が浮かぶ。

(怖い……)

私の中であの時の光景がフラッシュバックする。

(凛空……、助けて……!)

その時だった。

ヒュン──

という音と共に、私の首を掴んでいた鬼の手が切り落とされた。

「痛っ!」

その拍子に強くお尻を打ってしまった。