「ま、そういうことだ。何かあったら朱雀に言ってくれ、何かあったらすぐ行く」

「分かった」

でも、夜は何で私を殺したがっているのかな…。

「ねぇ凛空、私って何者なのかな?」

「…急にどうした?」

「なんとなく…」

凛空は、私の目の前まで来ると、優しく頭に手を乗せる。

「凛空?」

「お前はお前だ。何も心配するな」

それが心地よくて、私は素直に頷いた。

「頭に手乗せるとか、馬鹿かよ」

そんなこと言う朱雀の後ろに、凛空は手を組んで立つ。

「なら、お前も撫でてやろうか」

「え…」

その後、安倍家で朱雀の悲鳴が響いた。

「たく…、絶対空様の生まれ変わりじゃないだろ…」

朱雀は、殴られた頭を擦りながら私の後に付いてくる。

「ねぇ、朱雀」

「なに?」

「騰蛇と話したいんだよね?」

「そ、それは…。まぁそうだよ」

朱雀は、宙で胡座をかく。

「僕の力は、騰蛇さんと同じく炎を操る。だけど、僕の力は騰蛇さんより弱い」

「そうなの?」

朱雀は、手のひらに炎を出す。