輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

【凛空】

「たく……あいつは!」

俺は、イライラしながらづかづかと歩いていた。

「人の気も知らねぇで!」

俺は、一回立ち止まる。

「はぁ、落ち着け。冷静になれ」

俺が体育館に行ったのは、雫夏に言われたからだ。

数分前に遡る―――

「ねぇ、凛ちゃんのクラスって劇やるんだよね?」

「そんなことは知らない。興味がない」

俺は、黙々と文化祭の資料に目を通していた。

「なんかね、噂で聞いたんだけど、白雪姫なんだって」

「そうか」

「それで、その白雪姫役がね」

俺は、雫夏の言う事を気にせず資料にサインをする。

「なんと、凛ちゃんなんだって」

「……」

俺は、シャー芯を折りそうになったが、何とか精神を保ってサインを書く。

「でね、王子様が凌くんなんだって」

俺は、またシャー芯を折りそうになる。

「だから、何だって言うんだ!」

「だから、二人がキスするんじゃん!」

これを聞いた俺は、流石に自分の中でも響き、シャー芯を折った。

「り、凛空?」

「ほぉ、確かに白雪姫にはキスシーンがあるな。だからと言って、俺には関係のないことだ」

と言い新しいシャー芯を出し、資料にサインをしていく。

(俺には、関係の無いことだ!)

でも、凛がキスをする…。

いや、そんなのした振りだろ。

なんでそこまで深く考えないといけない!

「おい雫夏、俺は校内の見回りに行ってくる」

「は、はい!」

俺は、生徒会室の扉を開け、勢いよく閉めた。

「全く素直になれないんだから」

そして、今に至る。