【夜】

『ん……』

俺は、起き上がり大きくあくびをする。

『よく寝てたのう』

『うん、何か懐かしい夢見てた』

『なんの夢だ?』

『母さんの夢……』

俺は、首から下げてあるお守りを握る。

『夢の中で母さんが出てきてさ、あまりはっきりとは覚えてないけど、親父と母さんと俺とで、三人で一緒にいる夢を見た』

『……』

親父は、何も言わず立ち上がる。

『そうか…。夜、お前に一つ提案があるんだが』

『なんだ?改まって』

俺は、胡座に座りなおす。

『お前、学校に行ってみないか?』

『……は?』

『凛と凛空がいる学校にな』

『月の森中学校にか?俺が人間の学校に行くなんておかしいだろ』

俺は、笑ってそう言う。

『これは、凛を見張ることにも繋がるんだぞ』

俺は、それを聞いて親父を見る。

『凛を見張ればいいのか?それとも、何か変化があったら直ぐに殺していいのか?』

『いや、しばらくは様子見だ』

俺は、少し考えてから言った。

『いいぜ、ちょっと学校にも興味あったんだよな』

俺は、立ち上がり外に出る。

『人間の学校かぁ…、面白そうだ』

朝日に照らされた俺の瞳が、金色に輝いた。