輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

「天空、今すぐ結界の入口を探してくれ」

「時間はかかりますぜ」

「出来るだけ早くしてくれ」

「分かりました」

俺の中には、焦りと不安が出始めていた。

(もしかしたら、今頃鬼の妖に……)

そう考えるだけでも俺の体が震えた。

「待ってろよ、凛」

拳に力を入れ、俺は化学室の中を調べることにした。

化学室の中って事もあって、薬品の臭が鼻をツンとさせる。

薬品棚のところに行き、中の薬品を確認する。

「特に変わった所はないか」

薬品棚の戸を閉め、今度は窓に近づく。

「流石に残っているのは、部活をやっている連中だけか」

怪しいところは何処にもない、なら鬼の妖は何処から現れるんだ?

「主どの、どうやらその薬品棚の近くが結界への入口らしいぜ」

「ほんとうか!」

「あぁ、結界からの隙間風を感じる。しかし、この結界を張った奴は馬鹿だぜ、わざわざ結界を張るなんて自分の居場所を教えるようなもんだ」

「そうだな……」

でも、それでも妖にとっては一番いい隠れ場所だ。

それに、目を付けた獲物を結界に迷い込ませ自分の餌にする。

「じゃぁ、行くぞ」