『おやおや、気がつかなかったねぇ』

「ちょっと、私のこと甘く見すぎてないかしら?」

符をぬらりひょんへと押し当てると、その符から見えない斬撃が、ぬらりひょんの体を襲う。

『斬撃符かね、これはまたやっかいな』

「これで、終わりだ!」

騰蛇は、刀に炎を纏わせると、刀でぬらりひょんの体を貫いた。

「やった!」

そして、その場にぬらりひょんの亡骸が落ち、周りに着物の破片が舞った。

「お母様!」

私は、すぐにお母様の傍へと駆け寄った。

「お母様すごい!お母様の戦うところ、初めて見た!」

「凛も大きくなって修行すれば、すぐに私みたいになれるわよ」

「ほんとう?!」

私は、目を輝かせてお母様を見上げる。

「修行すればつったって、ろくに修行せずに逃げていたのは、どこのどいつだっけか?」

「う、うるさいわね!騰蛇は黙ってなさい!」

十二天将の中でも騰蛇は、お母様が幼い頃から傍に居てくれたと、前にお母様からそう聞かされた。

「てか、あんたは早く戻りなよ」

「たく、うるせえやつ」

騰蛇は、刀をしまうと胸に手を当て、元の符へと戻った。