【空】

俺は、凛音の手を握りながら静かに泣いていた。

声を出したら凛音を不安がらせる。

「凛音……」

そういえば忘れていた。

自分の体のことを……。

薬はとっくに切れていた。

でも、痛みは感じない。

「凛音、お前を一人にはさせない」

俺の残った力を、凛音の魂に注ぐ。

「お前の力が暴走しそうになったとき、おれはお前の力になれるように出てくるよ」

その時まで、会うのはお預けだ。

もしかしたら、俺の生まれ変わりがお前を助けてくれるかもしれない。

あの町で会った、俺と似た男。

あの男は、もしかしたら―――。

「おやすみ、凛音…」

天…、父さんと母さんは先にいく。

お前は強くなれ。

名の意味の通りに、ぬらりひょんを倒せるぐらい強くなれ。

「青龍……、少し頼みたいことがある」

青龍は、俺の隣へとくる。

「俺が今から言う事を、全部書き留めてくれないか?」

「分かった」

俺は、今後のことについてや、俺についてのことを青龍に書き留めてもらった。

「それと、凛音の魂を持った子が生まれたら、十二天将たちは必ず凛音を守れ」

「分かった」

「あとそれと、友江に伝えてくれ、俺は凛音と遠くに行くって」

友江には、兄らしいことを何もしてやれなかった。

だけど、幸せになって欲しいと思っている。

「分かった。他にはあるか?」

「あともう一つ、俺の生まれ変わりが生まれたら、力になってやってくれ」

「分かった…」

「じゃぁ、またな……」

そこで、俺の意識は途絶えた。