輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

(まさかあいつ、化学室に行ったのか?!)

凛と別れてそんなに時間は経っていないが、教室に戻ってないとなると、何かあったのかもしれない。

化学室に着き、俺は扉を勢いよく開け中に入る。

しかし、中には凛の姿はなく妖が居る気配もしない。

「あいつ、どこに行った?!」

時計は、五時を指していた。

「ちっ、こうなったら」

俺は、一枚の符を取り出し呪文を唱える。

「我と契約せし十二天将よ、我が呼びかけに応えたなら姿を現し、我の助けとなれ天空(てんくう)よ。急急如律令!」

符は、一人の男の姿へと変わった。

「お呼びですかぃ、主どの」

「お前の力を借りたい、凛の居場所を探してくれ!」

「あの子をですか?、まためんどくせぇことを──」

「いいから探せ!主の命令だ!」

「……。分かりました」

天空は、宙に浮くと両手を広げ目を瞑る。

「あれ?おっかしいな」

「何か分かったか?」

「この空間だけ、結界が張られていやすぜぇ、そのせいか凛の気配は感じられない」

「じゃぁ、凛はこの結界に閉じ込められた?」

「そうなりやすねぇ」

厄介だな……。

結界の入口を探すのにはそれなりの時間がかかる。