輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

【空】

「妖怪大戦が始まっているって、どういうことだよ…」

「そのまんまだ。この部屋にいれば妖に気づかれることもないし、音も聞こえない」

じゃぁ、今外では妖たちが…。

俺は、勾陣に目を向ける。

「おい勾陣!今すぐこの縄を解け!」

「それは、できません」

「何でだよ!このままじゃ凛音も死ぬんだぞ」

勾陣は、何も感じていないのか、俺に冷血な目を向ける。

「さて、私は高みの見物と行こうか」

じい様は、そう言うと部屋から出る。

「おい待て…、どこに行く気だ!」

「凛音とぬらりひょんの戦いを見るのさ」

俺は、今すぐにでも凛音を助けに行きたかった。

「おまえがどれほどあの女を愛していようが、守ろうとしようが、未来は変わらぬ。それに、凛音にはまだ隠された力がある」

「え…」

俺は、その時ぬらりひょんの言っていたことを思い出した。

『あの女は、まだ隠された力がある』

俺は、じい様に問う。

「凛音の隠された力って何なんだよ!」

「ほう…、お前はあの女の傍に居ながら、あいつが何者なのか知らなかったのか?」

「どういうことだよ…」

「あいつは、普通の陰陽師ではない」

「…は?」

普通の陰陽師じゃない…。

「私がそれに気づいたのは、凛音と初めて会ったときだ」

となると、十年も前に…。

「私が導き出した答えは、ただ一つ」

俺は、その先を聞くのが怖かった。

じい様に言われる前に、俺は気づいてしまっていたから。

「凛音こそ、安倍家と蘆屋家の混血児、新しい一族の者なのだ」

俺は、言葉が出てこなかった。

だけど、気になる点は幾つかあった。

「でも、俺は何も感じなかった」

「当たり前だ。あいつの母親が細工をしていたからな」

「細工…?」

「あとは、勾陣から聞け」

じい様はそう言い、障子を閉めた。

「ま、待て!!」

俺は、何も出来ずに自分の唇を噛んだ。

「勾陣…、細工ってなんだ。凛音は、自分の力を知っているのか?」

「細工というのは、凛音様の記憶を書き換えることです。もちろん、記憶が書き換えられている凛音様は、そのことを知りません」