【空】

俺は今、じい様のところにいる。

「どうした空、珍しいなお前から来るとは」

「そうですか?それより、さっき家の者から聞きました」

「なにをだ?」

じい様は、俺をじっと見てくる。

「近々妖怪大戦があるそうですね」

じい様は、軽く目を細めた。

「…そうだが。それがどうした?」

「何故俺に何も言わなかったのですか?」

「お前に言っても仕方ないだろ。その体で戦えるのか?」

「戦えます」

俺は、そう言い切った。

じい様は、静かに俺をじっと見てくる。

「戦えると言ったな、じゃぁお前は妖怪大戦で何の為に戦うんだ?」

「え…」

何の為に…?

「そんなの決まっています。家や家族のため、そして大切な物を守るために俺は戦います」

「…ふっ…」

すると、じい様は声を上げて笑った。

「な、何故笑うのですか…?じい様もその為に今まで戦ってきたのではないのですか?」

「私がそのために戦ってきていた訳ないだろ」

俺は、その言葉に怒りを覚えた。

「なん…だと」

「私は、妖を全滅させるためだけに戦ってきたのだ。妖怪大戦でこの家が無くなろうが私には関係ない。お前もだ空」

その時のじい様の表情に、俺は鳥肌がたった。