そしてその日の夜――

私はある夢を見た。

お母様の記憶…。

「うぅ…お母様…」

「どうしたの凛音?」

私は、お母様の膝の上に乗りながら泣いていた。

「あのね、怖い夢見たの…」

「どんな?」

お母様は、優しく私の頭を撫でながら聞いてくれた。

「あのね、怖い妖がね、凛音を追いかけてくるの」

「それは、怖いわね」

「うん…」

「でもね凛音、これは覚えておいてね」

「…なに?」

お母様は、悲しい表情へと変えて言った。

「陰陽師の見る夢は、現実になるのよ」

「!」

私は、そこで目が覚めて勢いよく起き上がる。

「今のは…、なに?」

陰陽師が見る夢が現実になるって、本当なの?

でも、これは昔の私の記憶…。

ずっと忘れていた記憶…。

「なんで、忘れていたの?」

私の頬に汗が流れる。

「この事を、空は知っているのかな?」

陰陽師が見る夢は、現実になる。

要するに予知夢…。