輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

【凛空】

「無事に凛音の子供が生まれてよかったな」

「そうだね。私はこの日のことよく覚えてるよ。…でも―」

「太陰?」

「幸せは、そう長くは続かない…」

俺は、太陰の言っていることが分からなかったけど、この後に起こった悲劇で、俺はその理由を知ることになる。

「太陰、ぬらりひょんと知世音はどうなったんだ?」

「それは…。ここまでの話の中では、私はぬらりひょんの記憶は持っていない。そもそも、あの記憶に映っていたぬらりひょんは、青龍の記憶の中のぬらりひょん」

「そうか…」

「でも、知世音様がどうなったのかなんて、この後を見ていけば分かるよ」

「太陰…?」

その時の太陰の表情は、悲しみでもなく、怒りでもない表情をしていた。

その表情からは、深い恨みのようなのを感じた。

(この記憶を見ていけば、分かることなのか…)

ぬらりひょんが凛音に輪廻転生の術をかけた理由…。

そして、それを解く方法が。

記憶を見ていけば分かるはずだ。

でも気になることがある。

(空さんの見たあの夢…)

俺は、陰陽師が見る夢が現実になるなんて知らなかった。

(なら、俺たちが見る夢も…)

現実になるってことだよな…。