【空】

体が熱く感じる…。

俺は一人暗い空間に居た。

息苦しくて、喉が酷く渇く。

毒の侵食の影響なのだろう。

「はぁ…はぁ…」

このままだと、本気で死ぬ気がした。

「凛音…」

凛音の名前を呼んだとき、誰かの手が俺の額に触れたのを感じた。

そして、手を握られたことも。

暗い空間に光が射し込んだ。

「温かい…」

俺は、うっすらと目を開く。

だけど、視界がぼやけて誰が居るのか分からない。

でも俺のなかでは、誰なのか分かっている気がした。

「りん…ね…」

俺は、再び眠りについた。

それからしばらくして、俺は目覚めた。

「……」

外はすっかり暗くなっていて、体の熱さや痛さは、なくなっていた。

「勾陣の薬が効いたか…」

起き上がろうとするが、体に力が入らない。

「お目覚めになりましたか?」

「菊夜か?」

障子のすぐ近くに菊夜が座っていた。

「なぁ菊夜、お前以外に誰か来たか?」

「はい、来られました」

「誰だった?」

月の光が部屋に射し込む。