ゆっくりと扉を開き中へと入る。

「し、失礼します、一年の蘆屋凛です。生徒会長さん居ますか?」

「居るってなにも、俺しか居ないだろ?」

「だ、だって他の人居るかもしれないでしょ!」

凛空は、椅子に座りながら何かをまとめていた。

「なにしてるの?」

「来月にある月影祭(つきかげさい)に向けての準備だ」

「一人でやってるの?」

「そうだ。他の奴らは、受験やらで忙しいしからな」

そういう凛空だって受験生じゃん。

でも、凛空はこの学校で成績優秀で運動もできる生徒会長だもんね。

「それで、お前は何の用だ?」

「えっと……」

さっき決めたじゃん!すぐに謝って帰るって。

「もしかして、朝のこと気にしてるのか?」

「うっ!」

「図星か」

「う、うるさい!」

あー!もう何で謝る前に図星突かれるかな!

(私って、勇気がないよね……)

「謝る必要なんてねぇよ」

「えっ?」

「別に俺は気にしていない、それでいいだろ?」

凛空は、まとめた紙をファイルへと入れると、立ち上がって私の隣を通り過ぎた。

「ちょ、ちょっと待ってよ!」

「ん?」

「凛空が気にしていなくても、私が気にするの!だから、朝はごめんなさい!」

私は、軽く頭を深く下げる。