【凛音】

翌日――

私は、姉様に着付けをしてもらい、自分の姿に驚いていた。

「これが、私…」

「やっぱり、凛音は可愛いですね」

「こ、これは姉様のおかげで」

「もぅ、凛音様。素直になってください」

私のとなりで、私の姿をじっと見てきている貴人が言う。

「なんでここに貴人が居るんだ…」

「貴人様にも、手伝ってもらいたいと思いまして」

「はぁ…」

「でも、そろそろ戻るよ。大切な話し合いがあるから」

「話し合い?」

貴人は、私に手をふると元の符に戻った。

「凛音、よく顔を見せて」

姉様は、じっと私の顔を見ると、笑ってくれた。

「今日は、凛音にとって大切な日です。楽しみなさいとは、言いませんが、楽しんでもらえたら嬉しいです」

「はい、姉様」

今日は楽しもう。

姉様や空だってそれを望んでいるから。

「そうだ、凛音に伝えたいことがあります」

「え?」

「祝言が始まる前に、ここは誰もこれないようにします。だから、ゆっくりとお話してください」

「そ、それはどういう…?」

すると、私たちが居る部屋の障子が開けられ、入ってきた人物に私は驚く。

「な、なんで…?!」

「では、ごゆっくりと」

姉様は、静かに部屋から出ていった。

「そ、空?」