輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

【妖】

『ほぉ、あれが噂の知世音か』

その頃、ぬらりひょんは木の上から知世音を見下ろしていた。

『噂通りの美しい女だ。俺の女に相応しい…。おい、居るか?』

『なんだ、ぬらりひょん』

『俺は決めた。あの女を俺の嫁にする』

『何馬鹿なことを言ってる…!』

男は、銀色の髪をなびかせながら、ぬらりひょんの隣に立った。

『人間と妖の子は、半妖となる。お前の子孫は弱くなるだけだ』

『それはどうかな?半妖でもつよい妖どもはいっぱい居る』

『人間に興味なんて持てないな』

『そうか?俺は、空と凛音を見て人間に興味を持てた。お前が殺した凛音の兄とやらはどうだった?』

『手応えがなかったな』

男は、日本の刀をだし、刀を見つめる。

(あの言葉が俺のなかでひっかかる)

男は、册に言われたことを思い出していた。

「お前たち妖は、人間をどう思っている」

(俺は、ただぬらりひょんに力を貸しているだけだ。こいつが望む世界などどうでもいい)

男は、刀を鞘に戻す。

(安倍空が、俺を十二天将に入れたがっているという話は、他の妖たちから聞いている)

男は、遠くの空を見つめる。

(気が向いたら、仲間になってやってもいい。だが、空という男がどういう男なのか見せてもらってからだ)

『俺に勝てるやつなんて、居るわけない』

『相変わらず、自信満々だな銀は』

『ぬらりひょん、お前もだ』

銀と呼ばれた男は、ぬらりひょんを睨み付ける。

『…面白いこと言うなぁ』

ぬらりひょんは、木から飛び降りる。

『俺は、お前とは戦いたくないな。お前は大切な友だからな』

『俺も、そうしたいところだ』

ぬらりひょんは、銀に笑い返すと、再び知世音の方へと視線を向ける。

『後日、あいつは他所の貴族の元に嫁ぐらしい、そこを俺は狙う』

『好きにしろ』

ぬらりひょんは、銀を一度見上げると姿を消した。

『人間の女などに、惚れてどうする…』

銀もそう言い捨てると、姿を消した。