「もしその子供が、凛音と空の子供だってバレたら、お前たちも殺されるんだぞ!」

「そうだけど……」

新しい一族を生むのは、それなりの覚悟がいる。

もし万が一、この子が蘆屋の後継ぎに選ばれたとしても、この子の力の強さに気づくものは現れる。

それに、この子の力を求めて妖たちが集まってくるのは確かだ。

力の強い陰陽師を妖が食えば、妖は今よりもっと強い力を得る。

新しい一族は、特に狙われやすいんだ。

「まずは、その子供が新しい一族っていうのを隠さないといけない。だから、その子供の父親は俺にすること」

「うん……」

「あと、空ともよく話し合うんだ」

「わかった……」

秦は、それだけ言うと部屋から出て行った。

(何で秦は、あんなに冷静でいられるの?この子は、秦の子供じゃないのに何で必死になるの?)

空に言わなくちゃ、空に子供ができるって。

でもそれは、生んでいい存在なのか分からない。

私は、震える肩に自分の手を乗せる。

今夜空とは、会う予定だからその時に言おう。

空は、なんて言いうのだろうか。

私は少し、空に会うのが怖かった。