(十二天将たちの中で裏切り者がいる?)

「薫子を裏切って、十二天将を抜けた一人の男……、青龍を殺せるのは凛空だけだから」

青龍は、騰蛇と同じく凛の母親に忠誠を誓っていたはずだが?

「じゃぁ、青龍の符を持っている凛のところには」

「青龍の存在はないよ」

太陰の目が再び光る。

「そのことを凛は知らない。あいつは、青龍を呼び出そうと必死に頑張っているんだぞ!」

「それは、私たちが教えても凛ちゃんの力にはならない」

「なら、一つ条件がある」

「えええ!なんでよ!」

俺は、かけている眼鏡を取って、太陰に言った。

「青龍を殺すかどうかは、俺が判断する。それを良しとするなら、お前たちと手を組んでもいい」

「そ、それは……」

「まぁ、どっちにしろお前たちが俺と手を組んだところで、俺に従わざるをえないからな」

「そういうところは、ほんとにそっくりで意地悪だよね……」

「誰にそっくりだって言うんだよ?」

「それは、こっちの話だから気にしないで」

太陰は、俺のところに近寄ると手を差し出す。

「じゃぁ、それでいいよ。十二天将代表として承諾する」

俺は、その手に握り返す。