「見合いの話があがった時、嫌だったんだ。だけど、いずれ私も祝言をあげないといけない。でも、空以外の男の人と一緒になるなんて、考えられなかった……」

「俺もそうだった。凛音以外の女と一緒になるんて、好きでもない奴と一緒になるんてさ」

空も私と同じことを思っていた。

だけど、空は覚悟を決めていた。

「ごめん空……」

「いや、俺の方こそごめん。お前が不安になっていることに気づかなかったし、傷ついてることにも気づけなかった」

それは仕方がないことだよ。

だって、私たちは三年ぶりに会ったんだから。

「凛音、今夜会わないか?」

「えっ……」

私の胸が高鳴った。

空は、私の涙を拭いながら言った。

「俺のこの気持ちが本当だってことを、お前にもう一度教えてやる」

「ええ!!」

そ、それってつまり。

「いいか?約束だぞ」

空は、耳元でそう囁いた。

「う、うん」

私は、赤くなった顔を見られないように小さく頷いた。

「じゃぁ、片付けるか」

「……そ
そうだね」

それから数時間、私たちは書物を片付けたあとそれぞれ家へと戻った。

空と会うのは、夜の遅い時間。

空が前に見せてくれたあの花畑が集合場所だ。

私の中で不安はもう消えていた。