「ごめん空。帰って」

「はっ?」

「約束したよね、私と空は会わないって。これから、赤の他人だって言ったのは、空のほうじゃん」

空の表情が変わる。

「自分から言っておいて、それを破るの?私が呼んだから来てくれたの?それは、嬉しいけど。約束は破らないで」

こんなこと、本当は思っていない。

本当は、空に会えて嬉しいよ。

でも不安なんだよ。

今目の前にいる空は、本当は別れを言いに来たんじゃないのかって。

「確かに、お前の傍から離れるってことも、これから赤の他人だってことも、すれ違うこともないって言ったのは、俺だ」

空は掴む手に力を込めて言った

「だけど、お前への気持ちは捨ててないぞ!」

「っ!」

「どんなに会えなくても、お前のことを心配するのは当たり前だ!俺の中では、常にお前優先で動く覚悟はあるんだよ。他の誰よりもお前を優先に!」

空は、私を抱きしめる。

「だから、帰れとか言うな。お前にそう言われると、辛いんだよ」

私の頬に涙が伝った。

別に不安に思うことなんて何一つなかった。

私は、何で空を信じられなかったんだろう。

空の気持ちは、ちゃんと分かっているつもりだったのに。

「最近不安だったんだ……。本当に空は私のことを好きなのか……。迎えに来てくれるかって、空の気持ちは本当なのかって」

私は、ゆっくりと不安を吐き出して言った。