輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

【空】

(やべぇ、流石に言い過ぎた)

倉庫の入り口で凛音の姿を見た時、俺は凛音の姿に見惚れた。

三年前よりも綺麗になっていて、凄く大人びていた。

凛音が落ちそうになった時、俺の体は咄嗟に動いた。

なるべく顔を見られまいとしたんだが、逆に変な人として認識されてしまった。

顔を合わせないように黙々と書物を戻していたが、凛音に話しかけられた時は驚いた。

そして、名前を聞かれた時は焦った。

ここで自分の名前を言うわけにはいかないし。

そしたら、勝手に布さんって付けられた。

それについイラッときて、あんな事を言ってしまった。

そして直ぐに後悔した。

あいつは、一瞬悲しい表情を浮かべたが、すぐにいつもの表情へと戻った。

(なんであんな事言っちまったんだよ。左目のことなんて、あいつが一番よく知ってんじゃねぇかよ)

凛音が蘆屋家の中でどんなふうに言われてきているのかは、俺は知っている。

『蘆屋の恥だ』

でも、あいつはそんな事気にせず普通に周りと接しているんだろうけど、さっきの顔を見てそれは違うと分かった。

いくら蘆屋の恥と言われても、あいつは当主だからってことで傷ついてる姿を見せてはいないんだ。

本当は、傷ついているくせに。

こんな時に、傍に居てやりたい。

だけど、何て言えばいい?

あいつの傍には、あいつの本当の姿を見る人はあまり居ない。

「空……」

「っ!」

俺は、微かにだけど聞き取れた。