輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

でも、これでも私は蘆屋家の当主だ。

周りになんと言われようが、堂々としていないといけない。

弱さなんて見せてはいけない。

「お前と一緒にするな、何も知らないくせに」

つい布さんに八つ当たりをしてしまった。

初対面の人に八つ当たりなんて恥ずかしい。

「な、何でもない。今のは、忘れて」

私は、布さんに背を向けて書物を棚に戻し始める。

布さんは、それ以上何も聞いてこなかった。

ただ時間だけが過ぎていく。

(私は、強くなれたのかな……)

私の中で空の笑顔が浮かんだ。

会いたい気持ちを抑えても、やっぱり気持ちは溢れる。

辛い時にこそ会いたい愛しい人──空。

(会いたいよ、空……)

友江の前であんなことを言ったけど、時々空はまだ私のことを好きなのか不安になることがある。

式文でお互いの現状を報告しあっているだけで、空は私のこと好きなのか分からない。

空が言ってくれたあの言葉。

『必ず迎えに行く』

その言葉は、本当に信じてもいいのか?

嘘ではないのか?

今すぐ空に会って確かめたい。

「空……」

私は、小さな声で空の名前を呟いた。