輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

「あの、助けてもらって何ですが、早く降ろしてください」

「なっ!」

何だこの人?

とりあえず降ろしてもらって、私は散らばった書物を集める。

「助けてくれてありがとうございます。もういいので出ていってください」

「はぁ!?」

なんか、この人と居ると危ない気がする。

一瞬空かと思ったけど、空はこんなかっこしないし、私に会えるはずがない。

「おい待て、俺はここを手伝いに来たんだぞ」

「えっ?」

男の人は、そう言うと一緒に散らばった書物を集めてくれた。

「ここに手伝う人が来るなんて聞いてないんだけど」

「俺だってお前が居るとは思わなかったよ!」

怒っているのか男の人は、私に背を向けて反対側の書物を持って棚に戻し始める。

(なんか、いきなり片付け始めたんだけど……)

でも、助けてくれたし悪い人ではないんだろう。

ちょっと気になるけど、私は男の人と反対側の書物を棚に戻していく。

「……」

「……」

なんか、空気が重いようなぁ。

初めて会った人だから、特に会話することなんてないけど。

私は、チラッと後ろを見る。

男の人は、黙々と書物を棚に戻していた。

そういえば、この人聞いてこないよね。

私の左目のこと。

私は、人に会うたび聞かれたんだ。

この左目の事──

聞かれる度にどう答えたらいいのか分からなくて戸惑っていた。

「あの……」

「な、なに?」

男の人は、恐る恐る振り返った。