輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

会うことは許されない。

じい様の命令だからな。

陰陽寮に付くと、目の前から声が聞こえてきた。

「これはこれは、空様」

「よぉ嶺(みね)。片付け手伝いに来た。どこを片付ければいいんだ?」

「はい、奥の倉庫でございます。今は凛音様が来ておられています」

「え……、凛音が!」

凛音がその倉庫に居るのか?!

今日は陰陽寮に行くってことは聞いていないが。

というより、俺と凛音が会うわけにもいかない!

「ささ、空様こちらです」

「ちょ、ちょっと待てくれ嶺、俺はだなその……」

「どうかなさいましたか?」

ここで、凛音が居るから俺は帰るだなんて言えない。

「えっと、ぬ、布か何かないか?」

「布ですか?」

「そ、そう布だ!俺さちょっとほこりが苦手で、出来れば布で顔を覆いたいのだが」

とっさに布って言ったが、布で顔を隠せれば、凛音は俺に気づくことはないだろう。

「そうでしたか、では今すぐに布をお持ち致します」

嶺は、そう言うと陰陽寮の中に戻って行った。

「はぁ……」

俺は、深く溜め息をつく。

なんとかなったが、凛音と長く一緒に居るわけにはいかない。

でも、これはあいつを一目見れるチャンスでもある。

でも、じい様は凛音が陰陽寮に通ってることは知っているはずなのに、何で俺に陰陽寮の手伝いを頼んだんだ?