輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

家を出て門をくぐった時、蘆屋家の門の近くで壁に寄りかかっている男が目に入った。

「誰だあいつ?」

蘆屋の者だとは思うが、俺は見たことがない人物だった。

「まぁいいか」

俺は特に気にせず陰陽寮に向った。

「安倍空……」

その男は、俺を見つめてくると睨んだ。

「凛音は、俺が貰う」

俺は、少しの殺気を感じ振り返るが、男の姿はもう見当たらなかった。

「……なんだ?」

殺気を感じたが、気のせいか?

気になるが、俺は再び歩き出す。

「しかし、よく凛音と会わないよな。すれ違うことすらない」

まぁ、俺は滅多に外に出ないからなぁ。

じい様にあまり出るなと言われてるし。

それに、凛音は家には来ない。

用があって前に来たことがあったみたいだが、菊夜が傍に居たため、あいつの姿を見ることが出来なかった。

会えないのは分かっている。

だけど、一目だけあいつの姿を見たい。

「すっげぇ綺麗になってるんだろうなぁ」

友江から聞けば、髪も前に比べれば伸びたみたいだし。

「想像がつかねぇ」

俺の中の凛音の姿は、三年前で止まったまんまだ。