輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

「凛音様、本当に美しくなられたと思います」

美しくか──

俺は、かんざしがしまってある棚に目をやる。

結局のところ渡すことが出来ないでいる。

(いつまで渡さないつもりだよ……)

「兄様?」

「な、何でもない」

俺は、書物を取り読む振りをする。

「そういえば、先ほど凛音様が知らない男の人と一緒にいました」

「知らない男?」

凛音が、知らない男と一緒にいた?

「名前は確か、秦と言っていたはずです」

「ほぉ、秦か」

俺の手に力がこもる。

「あ、兄様?!」

「俺の女に手を出すなんて、覚悟は決めてもらおうか」

凛音にまとわりつく男どもは、俺が排除する。

「空様、どうかなされましたか?」

俺は、声の主が近くに居ることに気づき、書物を元の場所に戻す。

「どうかしたか?菊夜(きくよ)」

「いえ、空様の様子がちょっと」

姿を現した菊夜は、俺の隣に座った。

こいつは、安倍菊夜。

俺の妻だ。