「凛音様、本当に美しくなられたと思います」
美しくか──
俺は、かんざしがしまってある棚に目をやる。
結局のところ渡すことが出来ないでいる。
(いつまで渡さないつもりだよ……)
「兄様?」
「な、何でもない」
俺は、書物を取り読む振りをする。
「そういえば、先ほど凛音様が知らない男の人と一緒にいました」
「知らない男?」
凛音が、知らない男と一緒にいた?
「名前は確か、秦と言っていたはずです」
「ほぉ、秦か」
俺の手に力がこもる。
「あ、兄様?!」
「俺の女に手を出すなんて、覚悟は決めてもらおうか」
凛音にまとわりつく男どもは、俺が排除する。
「空様、どうかなされましたか?」
俺は、声の主が近くに居ることに気づき、書物を元の場所に戻す。
「どうかしたか?菊夜(きくよ)」
「いえ、空様の様子がちょっと」
姿を現した菊夜は、俺の隣に座った。
こいつは、安倍菊夜。
俺の妻だ。
美しくか──
俺は、かんざしがしまってある棚に目をやる。
結局のところ渡すことが出来ないでいる。
(いつまで渡さないつもりだよ……)
「兄様?」
「な、何でもない」
俺は、書物を取り読む振りをする。
「そういえば、先ほど凛音様が知らない男の人と一緒にいました」
「知らない男?」
凛音が、知らない男と一緒にいた?
「名前は確か、秦と言っていたはずです」
「ほぉ、秦か」
俺の手に力がこもる。
「あ、兄様?!」
「俺の女に手を出すなんて、覚悟は決めてもらおうか」
凛音にまとわりつく男どもは、俺が排除する。
「空様、どうかなされましたか?」
俺は、声の主が近くに居ることに気づき、書物を元の場所に戻す。
「どうかしたか?菊夜(きくよ)」
「いえ、空様の様子がちょっと」
姿を現した菊夜は、俺の隣に座った。
こいつは、安倍菊夜。
俺の妻だ。



