輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

【空】

「はぁ……」

俺は、部屋で重々しく溜め息をついた。

ここ最近、俺は忙しかった。

じい様に呼ばれて行ってみたら、雑用を押し付けられたり、お使いを頼まれたり。

「じい様……、ただ俺を雑用にしか使っていないよな?」

俺は、目の前にある書物に目を落とす。

この書物は、陰陽寮から取り寄せたものだが、中には俺が妖についてまとめた物もある。

凛音から妖たちの行動が活発化してきている事は聞いている。

「無理しなきゃいいけど……」

凛音に会わなくなって三年も経つのか。

噂で聞いたが、凛音のところにお見合いの話が入っているって。

あいつももう二十歳だし、お見合いの話があがるのは分かるが。

「苛つく……」

あいつが他の男と祝言をあげるなんて、絶対認めねぇ。

「ただいま戻りました。お兄様?」

「と、友江か。お帰り」

「どうしたんですか兄様?怖い顔をして」

「えっ?そんな顔していたか?」

「はい。もしかして凛音様のことですか?」

な、何でわかるんだ!

でも、嘘を付いて仕方ないしな。

「そうだ、凛音のことを考えていた。あいつに見合いの話があがってることを考えたら苛ついた」

「そうですか。さっき凛音様にお会いしました」

「凛音に!」

また会いに行ったのか?

何で友江は凛音に懐いているんだ?

昔からそうだったよな。