三年の月日が流れて、私は二十歳になった。

二十歳なった私のところには、たくさんのお見合いの話があがっていた。

「父上、私はまだ祝言をあげる気はありません」

「そんなことを言うな凛音、私は早く後継ぎの顔を見たいのだ」

最近の父上は、ずっとこればかり言っているんだ。

断るのにも疲れてくる。

「父様、凛音に無理を言ってわいけません」

「知世音、お前もだぞ。いつまで祝言を先延ばしにする気だ」

「まだ、当分先延ばしです」

「たく。誰に似たのか」

父上は、頭を抱え気を落として部屋から出て行った。

「姉様ありがとうございます」

「いいのです。凛音が祝言をあげたくないのはわかりますから」

今は、祝言をあげている時間なんて私にはない。

この三年で妖たちの活動は活発になった。

最近私のもとに入った情報といえば、力の強い妖たちが行動を始めたこと。

何処かに向かっているらしいのだが、何処に向かっているのかはまだ分からない。

「凛音、布を変えますか?」

「あ、はい」

「あと、髪をとかしますね」

「ありがとうございます。姉様」

姉様は、決まった時間に私のところに来て、布を変えて髪をとかしてくれる。

「髪伸びましたね」

「はい」

空を別れたあの日から、私は髪を伸ばしている。