あいつの傍に居て数年が経った頃、あいつは急に変わった。

符に向かって何かを言っていたり、体力を付ける為なのか、朝一人でよく走っていた。

そして、俺は再び元の生活へと戻った。

あいつが変わったことなんて、そんなの一つしか思い当たらない。

凛の中での憎き相手、ぬらりひょんを倒すために、あいつは力をつけようとしている。

もしかしたら、今の俺とあいつが戦ったら、あいつの方が強いのかもしれない。

でも、それでも凛は俺には勝てない。

俺の元には、残りの十二天将たちの勾陳（こうちん）、朱雀（すざく）、貴人（きじん）、太陰（たいいん）、天后（てんこう）、白虎（びゃっこ）、天空（てんくう）、太裳（たいじょう）の八人が仕えてくれている。

だけど、今の俺の力では同時に二体の十二天将を召喚することは出来ない。

全員こそ無理な話しだ。

十二天将を呼び出すには、それなりに力を使うし体力と霊力を使う。

「ねぇねぇ凛空、凛空は何をしたいの？」

「太陰、何の用だ？今は忙しいんだ。それに、勝手に出てくるな」

「いいの！私は自分の力で出てきてるんだからさ」

すると、俺のすぐ隣で一枚の符が浮かび上がると、符は一人の少女へと姿を変えた。

「凛空も大変だよね、生徒会の仕事だっけ？」

「うるさいから引っ込んでくれ、仕事の邪魔だ」

「だって、暇なんだもん」

太陰は、頬を膨らますと軽く宙に浮いた。