輪廻転生 絆が繋ぐ運命の転生 上

「そうだ。凛音の様子はどうだ?」

「先ほど知世音様がいらしていましたが、知世音様が帰られる頃には、眠っていました」

「なら、いい」

「ですが、凛音様の左目はもう何も見えません」

「えっ?!」

何も見えないってどういうことだよ。

「凛音は、ぬらりひょんに見鬼の才を奪われただけだろ!」

「凛音様本人は、真っ暗な景色しか見えないと言っていました」

「そんな……」

俺は、自分の手に力を込める。

じゃぁ、ぬらりひょんに見鬼の才を奪われたことによって、凛音の左目は見えなくなったってのか?

ただでさえ、見鬼の才を奪われ、妖の気配を完全に探れないというのに、目が見えなくなるなんて。

(俺のせいだ。俺の……!!)

俺は、自分の力の無さに苛ついた。

俺にもっと力があれば、あいつの傍から離れなければ、こんなことにならなかった。

「空様……。晴明様から言伝を預かっております」

「じい様から?」

じい様から言伝なんて珍しいな。

俺に妖退治の依頼や、話があるときはいつも式文を飛ばしてくるから。

俺は、じい様に言われるがままやってきた。

だから、そのせいもあってじい様とはまともに話したことはない。

「じい様は、何て言っていたんだ?」

勾陳は、まっすぐ俺を見てくると言った。

「これ以上、凛音様に近付くなとのことです」

「はっ?」

俺は、自分の耳を疑った。

「凛音に近づくなってどういうことだよ!」

じい様は、何を言っているんだ!

俺がそんなこと聞くと思っているのか?!

「これは、晴明様の命令です」

「だから何だって言うんだよ!俺はそんなこと…」

俺が凛音から離れることなんて出来ない。

俺が離れたら、誰があいつを守るんだよ。

そこで、俺はフト思ったことを勾陳に聞き返す。