【空】

体の激痛に耐え抜いた俺は、いつの間にか眠ってしまっていた。

「ん……」

目を覚まして外を見ると、外は暗く夜空には星が輝いていた。

「どれくらい眠っていたんだ?」

「お目覚めになられましたか空様」

「勾陳?」

すぐ隣には、勾陳が俺の顔を覗き込んでいた。

勾陳もあの戦いに参加していたから、体はところどころ布で巻かれていた。

「毒抜きは、終わったのか?」

「はい。しかし全ての毒は抜ききれませんでした。予想以上に奥に入り込んでいています」

「そうか……」

俺の体に入り込んだ毒は、ただの毒ではない。

生きている毒のようだ。

「空様の体の中にいる毒は、空様が符を使うごとに体を侵していくと思います」

「符を使いすぎると死ぬってことか」

そして、符を使わなければ数年は生きられる。

勾陳や他の十二天将たちは、俺に符を使わせないようにするだろう。

特にじい様はそうだろう。

じい様は、俺に妖退治にも行かせないとするだろう。

しかし、そういうわけにはいかない。

ぬらりひょんがあれだけ強い力を持っているんだ。

もっと強くならないとあいつを守れない。