「凛音、もう一つ貴方に話しがあります」

「え?」

「数日後に行われる私の祝言を、先延ばしにしようと思っています」

「えっ?!何でですか?!」

姉様は、数日後に貴族の人と祝言をあげ、その人の元に嫁ぐ予定だ。

「だって、私が行ってしまったら、貴方は一人ぼっちになってしまうもの」

「ひ、一人に?」

「兄様も亡くなり、母様も亡くなり、父様もいつ亡くなるか分かりません。そんな時に、誰が貴方の傍に居るのですか?」

「そ、それは──」

私の中で、空の名前があがったが、私は直ぐにそれを振り払う。

「凛音は、蘆屋家を継ぐことを決めましたね?」

「はい!」

「貴方の中では、覚悟は出来ていると思います。でも、空様のことはどうですか?」

姉様の言葉で、胸が高鳴った。

「凛音が空様に好意を寄せている事は知っていました。ですが、その気持ちを捨てる覚悟は出来たのですか?」

覚悟は決めたつもりだった。

だけど、まだ迷いは私の中にあ?。

本当に空への気持ちを捨てていいのか。

空の傍を離れていいのか。

「まだ、できていないのですね……」

「はい……。でも、この気持ちを捨てなければ、私は先には進めません」

でも、捨てなければ先には進めない。

この気持ちにすがっていたら、私は強くなれない。