「兄様は、凛音たちの加勢に行くと言って、貴方たち二人を追いかけて行きました。ですが、ある妖によって兄様は殺られたと、生き残った者たちから聞きました」

「その妖ってまさか──」

「凛音の中では、既に妖の名前があがっているのですね」

だって、兄様は私よりも強い力を持っているのに、簡単に殺られるなんて。

「その妖は、ぬらりひょんって名前ですよね?」

「ぬらりひょん?そんな名前ではなかったはずですが」

「えっ?!」

ぬらりひょんじゃない?

ぬらりひょんじゃないとするなら一体誰が?

「私が聞いた名前は、銀と言う名前でした」

「銀?」

聞いたことのない名前だ。

もしかして、ぬらりひょんの仲間の一人か?

でも、ぬらりひょんじゃなくとしても、兄様が亡くなったことには変わりない。

「凛音、ごめんなさい。凛音には早く伝えないといけないと思いまして……」

「いえ、姉様が謝る必要はありません。後で知るより今日知ることができて良かったです」

私は、涙を堪えた。

ここで泣いてしまったら、姉様に迷惑をかけてしまう。

「兄様が無くなったってことは、蘆屋家の時期当主は、私ってことですね?」

「そうなります」

私と兄様は、周りの人たちからどちらが蘆屋家を継ぐのに相応しいか、という話しを聞かされたことがあった。

もちろん、私の中では兄様だと思っていた。

けど、私は父上に「蘆屋を継ぐのはお前だ」と言われた。

私よりも力の強い兄様ではなく、なぜ私だったのか、今もそれを疑問に思うことはある。

「じゃぁ、私が蘆屋家を守らないといけない」

他の蘆屋家の人たちも、父上も姉様も空も町の人たちも、私が守らなくてはいけない。

たとえ、自分が死ぬことにっても──