【凛音】

「騰蛇!!」

「はぁ……、はぁ……」

『おいおい、もう終わりなのか騰蛇?』

騰蛇とぬらりひょんの戦いは、圧倒的にぬらりひょんが優勢だった。

騰蛇の攻撃の隙や、騰蛇の弱点を、ぬらりひょんは全て見切っていたのだ。

「ふざけるな……、まだここからだ!」

騰蛇の体は血だらけだ。

そんな体でこれ以上戦うのは無理がある。

「騰蛇、俺たちも加勢する!」

私を守っていた他の十二天将たちが、騰蛇の隣に並ぶ。

『十二天将が束になって来たところで、俺に勝てるわけないだろ』

十二天将たちは、一斉にぬらりひょんに斬りかかる。

『ざこが……』

ぬらりひょんは、刀を一振りすると、十二天将たちを見えない斬撃で弾き返した。

「うわぁ!」

「きゃぁ!」

「くそっ!」

「騰蛇、六合、朱雀、太陰、天后、勾陳!!」

弾き返された十二天将たちは、もとの符へと戻ってしまった。

だけど、騰蛇だけはまだ立ち上がろうとしていた。

『本当にお前は惜しい男だよ騰蛇、俺がもう少し早くお前に会っていれば、お前を仲間として迎えたのに』

「悪いが、俺はお前の仲間なんかにならねぇよ、凛音より先にお前が来ていたとしても、俺は凛音を選んだ」

「騰蛇?」

『陰陽師に仕えたところで、戦いの道具にされ自由を奪われるだけだ。元妖のお前なら分かるだろ』

ぬらりひょんの言葉に、私は視線を地面へと落とす。