【凛音】

「斬撃符!」

私は鬼蜘蛛に向かって符を放つ。

符は、勢い良く鬼蜘蛛の体を斬りつける。

『くっ……、流石に三人相手じゃきついか……』

鬼蜘蛛の体は、既にボロボロになっていた。

それは当たり前か、十二天将が三人もかかって戦っているんだ。

弱い妖なら、今頃形すら残っていない。

ここまで立ち上がれている鬼蜘蛛は、ぬらりひょんが選んだ仲間だ。

ぬらりひょんの目は、いい目をしているのかもしれない。

それとも、ぬらりひょんに忠誠を誓う妖たちの執念なのか。

「しぶといなお前、さっさと殺られろよ」

けど、だからと言って負けるわけにはいかない。

『そんな簡単に殺られるわけにはいかない、ぬらりひょん様の理想の時代のために…』

「理想の時代?」

ぬらりひょんの理想の時代ってなんだ?

「それは、ぬらりひょんが天下を取る時代のことか?」

『お前ごとき人間に教えるわけないだろ』

「そうか……、なら話しはここまでだ」

騰蛇は手の中に炎を出し、それを地面へと打ち付けると、炎の姿をまとった蛇が鬼蜘蛛に向かって行く。

「凛音ちゃん、こっちの鬼蜘蛛たちは倒したよ」

「ありがとう、二人とも」

「でも、数匹逃げられました……」

炎をまとった蛇が鬼蜘蛛に向かった時、鬼蜘蛛の目の前で炎が飛び散った。

「なに?!」

私たちは、その光景を見て目を見開く。