『お前たちがここに居るということは、俺の力になってくれるってことだな!』

鬼蜘蛛たちは、歓声をあげた。

『よし、それでこそ俺の後を付いてくるものに相応しい…。』

ぬらりひょんは刀をしまうと、私たちのいる方向へと視線を向けてきた。

「気づかれた!」

「いや、まだそう決め付けるのは早い!」

『いらぬ者が紛れ込んでるな……』

しかし、ぬらりひょんは私たちのところへと来ようとせず、もと来た道を戻り始めた。

『これは、こいつらがどれほど強いか試すことにするか』

ぬらりひょんは、不気味に笑いながら深い霧の中へと消えていった。

ぬらりひょんの気配が完全に消えたのを感じると、私たちは一緒に溜め息をつく。

「あれが、ぬらりひょん」

「予想以上の気配を感じた……」

あれが、妖たちの総大将ぬらりひょん。

あいつに私たちが勝てるというのか?

「心配するな凛音」

「空?」

「あいつは、俺が倒す!誰も死なせねぇ」

空の手に力が入るのが分かった。

私も空の力になりたい。

誰も死なせたくない。

「でも、まずはあいつらを片付けないとな」

空は、立ち上がると符を一枚取り出した。