支度を済ませたあと空が帰ってきて、私たちは朝食をとった。

そして貴船へと向かう。

貴船は山の上にあるから、山道を行かないといけない。

「はぁ、疲れる……」

「ここは急な山道だから、誤って足滑らせるなよ」

「分かってる」

でもやっぱり足に来る。

昨日の雨のせいでいつ滑るか分からない不安が過ぎる。

「ほら」

「えっ?」

すると私の目の前に空の手があった。

「なに?」

「掴めよ、きついんだろ?」

「いや、大丈夫だよ」

空に頼るわけにはいかない。

空だってきついんだろうし。

「俺のことはいいんだよ、もう少し頼れよ」

「う、うん……」

私は、空の手を掴む。

「さっ、とっとと鬼退治して帰る……」

「空?」

その時、空に思いっきり引っ張り上げられた。

「きゅ、急にどうしたんだよ!」

「静かにしろ、妖の気配がする」

「えっ?!」

私は、意識を集中させて気配を探る。

「一匹、二匹……五匹……、いやそれ以上いる?!」

「あぁ、どうやら上の方に巣を作っているみたいだな」

「巣だと?」

「もしかしたら、厄介な妖かもしれない」

空に手を引かれながら、私たちは気づかれないように鬼たちのところへと向かう。