「私じゃ、空の傍には居られない…」

空も分かっているはずだ。

私たちが互いに愛し合っていても、私たちの恋は許されない。

なんで、私は蘆屋家に生まれてしまったのだ?

蘆屋家じゃなくて、安倍家だったならば、空の傍に居られたかもしれない。

「こんなことを考えたって駄目だ」

私は、長い髪を束ね水干に着替える。

空への気持ちを無くさないといけないその日まで、空を好きでいればいい。

「私もいつか、空みたいに祝言をあげるんだ」

嬉しくもない祝言をあげるんだ。

蘆屋家の未来のために──